実は、伊勢の神宮のお札「神宮大麻」ほど有難いお札はない
伊勢の神宮から年毎に全国頒布されるお札。年間約800万体頒布されている。
伊勢のお札は、平安末期から「御師」(御祈祷師の略)といわれる人たちが、神宮への参拝者に祈祷や神楽、宿泊などの便宜を図っていて、祈祷のしるしとして頒布してきたといわれる。
南北朝時代から全国に広げられ、室町時代には制度が整えられていった。各家庭での神棚の普及の原点(それまでは、年棚、盆棚等臨時の斎場が常)でもある。
そのときに頒布してきたお札を「御祓大麻」といっていた。
その最も広がったのが江戸時代であり、当時「御師」といわれる人は800人(軒)以上もおり(ちなみに神宮の神職は100名弱)、安永6年(1777)約240年前には、国内世帯の約90㌫がお札を受けていたといわれる。
当時の90㌫とは、421万戸。現在の全国世帯数5200万世帯
明治に入り、神社に対する取扱いが一変し、神社は「国家の宗祀」という扱いになった。、伊勢の神宮制度も変革を余儀なくされ、各御師宅での祈祷や御祓大麻は停止となった。
そして明治天皇の思し召しにより明治5年、神宮司庁から「大麻」が奉製され、頒布されるようになった。
そのときの告刀文は「今年より始めてかしこき大御璽を天下の人民(おおみたから)の家々にもれおつることなくわかち給はむとし」と奏上されている。天皇が勧められる唯一のお札でもある。
「大御璽」とは、天皇陛下の場合は「御璽」といい、陛下のお言葉なりご命令なりをあらわすもの。それに「大」をつけ、「大御璽」は天照大御神さまの御神徳を表すものであり、国民が仰ぐものという意味となる。
では、神宮大麻という大麻とは何かということ、元々の「大麻」は、神さまへのミテグラ・タテマツリモノである。奉り、神さまの所有となることで、そこから神さまの神威・恵みが宿され、それを、今度はお札として大切にまつるものとなっていく。
また、お祓いのときに左右左とふるのは「大麻(おおぬさ)」という。現在の大麻は、麻と紙が利用されている。
麻や楮(紙)からとれる繊維は衣をつくるものとなり、これを着ることによって、虫やさされ木、寒さなどから体を護る大切なものとなり、その大切なものを神さまにたてまつり、神様の神威・恵みが宿されるものとなり、その麻などによって災いは祓われるものという信仰が生まれた。これで「お祓い大麻」のいわれが理解できる
この神宮大麻は、日本で一番、神さまを称え、丁重に祀っているところで奉製されている。
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